物語における心情の読み取り- 中学国語 【授業実践】授業での活用(ログパレ)
実践者:慶徳 和彰先生(西京高校附属中学校)
実践の概要
1年生の授業において教科書の作品(物語)『大人になれなかった弟たちに』の教材を扱いました。
授業中に生徒に作品の中の「行動」に赤色のラインマーカー、「情景描写」に黄色のラインマーカーを引かせ、生徒がどこに線を引いたかを、教員がログパレのマーカーヒートマップとワードクラウドを使って生徒と共有する授業を行いました。生徒はワードクラウドで出てきた単語を基に、最も印象に残った場面での登場人物(僕または母)の心情を読み取り、記述で説明をする作業を行いました。
授業中に生徒に作品の中の「行動」に赤色のラインマーカー、「情景描写」に黄色のラインマーカーを引かせ、生徒がどこに線を引いたかを、教員がログパレのマーカーヒートマップとワードクラウドを使って生徒と共有する授業を行いました。生徒はワードクラウドで出てきた単語を基に、最も印象に残った場面での登場人物(僕または母)の心情を読み取り、記述で説明をする作業を行いました。
実践の流れ・授業展開
教材の「行動」と「情景描写」にマーカーを引く教員:事前に教材PDFをBookRollにアップロード
生徒:指示された内容でマーカーを引く
ログパレで確認・共有する
教員:結果を生徒と共有
生徒:結果を確認し、その部分からどのような心情を読み取れたのかを確認する

教材の「行動」と「情景描写」にマーカーを引く

ログパレで確認・共有する
実践におけるツール活用のポイント・効果
「描写を捉える」部分について、生徒の着目点や理解度をログパレで可視化することにより、教員が視覚的に把握することができました。ログパレを利用しない場合、国語の教材は複数ページにわたることがほとんどなので、机間巡視で1人ひとりを確認することは時間的に非現実的であり、他のデジタルツールで提出させ一覧にしたとしても集計するのが難しい状況でした。これまでは数名の生徒の様子から全体を想像し、教師の経験と勘で大まかに判断していたものが、ログパレを使うことによって明確になりました。
具体的には、マーカーのヒートマップでは、教科書のどの部分に多くラインが引かれているかがわかり、ワードクラウドでは、マーカーを引いた文章や文字への偏りが明確に示されるため、それぞれの利点を活かして生徒と内容を共有できました。
例えば、「情景描写」を表している部分について、生徒がどこに着目しているのか、また情景描写をどのように解釈しているのかの傾向を見ることができます。
特定の箇所について生徒の注目度が低かったり、理解が浅かったりなどと判断された部分には、その部分に焦点を当てた解説や補足説明を次回の授業で加えるなど、授業内容の改善に役立てられます。
生徒自身も、ヒートマップやワードクラウドによる明確な視覚化を体験することで、自分の感じていることと、他者の感じていることとの比較や理解、新たな視点の発見がしやすい効果があると感じました。
登場人物の心情を説明する課題では、生徒が物語の登場人物の心情を深く理解し、説明する上で有効な手がかりとしてワードクラウドを活用しました。
隣の生徒との意見交換では、ヒートマップやワードクラウドの材料があることで、活発に意見交換をする姿が見られました。普段主体的に意見を述べることを苦手としている生徒でも、この材料をきっかけとして話しやすくなる効果があるのではと推察しています。
描写に着目して登場人物の心情を捉え、読み深めるという目的に対してのツールを効果的に活用できた授業であったと思います。
実践者・記録者から
授業をしながら、リアルタイムで生徒の思考の流れを把握することができるので、教師としても何を教えるべきか、何を教えなくても良いのかというのが明確になり、授業の展開が的確かつスピーディになりました。
生徒の側も、全体的な傾向を把握することによって自信を持って自分の考えを表明できるようになっています。
生徒の側も、全体的な傾向を把握することによって自信を持って自分の考えを表明できるようになっています。